近年、急速に普及している無人航空機といえば、ドローンです。
ドローンは、一般に市販されている、数千円で変える小型機から、軍用にも耐え得る大型機まで幅広く開発が進んでします。
そして、ドローンをめぐっては、国際的な開発競争が激しさを増しています。
そんななか、国内初となる超音速のドローンが、2020年の初飛行に向けて、開発が進んでいるといいます。
国産超音速ドローン
北海道の室蘭工業大が、完成を目指しているドローンは、「オオワシ2号」と名付けられています。
この「オオワシ2号」は、国産としては初となる超音速のドローンだということです。
「オオワシ2号」は、最高速度がマッハ2での航行が可能で、航続距離はおよそ100kmです。
マッハ2といえば、冷戦時代に英仏共同で開発された超音速旅客機「コンコルド」に匹敵するスピードです。
現在の日本で、超音速飛行ができる航空機は、航空自衛隊の戦闘機ぐらいです。
航空自衛隊の戦闘機「F15」の最高速度は、およそマッハ2.5、「F2」の最高速度は、およそマッハ2とされています。
マッハ とは、音速を表す単位です。
マッハ1は、およそ1234.8km/hですので、マッハ2は、およそ2469.6km/hということになります。
オオワシ2号
「オオワシ2号」の機体は、軽くて丈夫な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製です。
全長6.3m、主翼部の最大幅2.4mで、燃料を含む重さは、約350kmです。
要となるエンジンは、超音速飛行に適した ガスジェネレーターサイクル・エアターボ・ラムジェットエンジン を採用しています。
ガスジェネレーターサイクル・エアターボ・ラムジェットエンジン は、飛行中に取り込んだ空気を圧縮して燃やすジェットエンジンと、あらかじめ搭載した、燃料や酸化剤を燃やすロケットエンジンを組み合わせたようなイメージです。
また、「オオワシ2号」は、比較的高速で滑走路に着陸した上で、機体後部からパラシュートを出して、急減速する手法を導入されるようです。
この手法は、2011年に退役した、アメリカのスペースシャトルが用いていた手法と同じです。
2018年7月には、同大学の白老実験場に敷かれた、全長300メートルのレールと台車を使って、パラシュートの開傘試験を実施しました。
ロケットエンジンを搭載した台車が、時速120kmまで加速したところで、予定通りにパラシュートが開くことを確認したそうです。
出典:http://www.muroran-it.ac.jp/
「オオワシ2号」は、災害対応をはじめとした、さまざまな利用先が見込まれています。
大規模災害が発生したときには、現場上空に短時間で到着し、情報収集に当たることも可能になります。
その開発は、東京オリンピックが行われる、2020年ごろの初飛行を目指して、現在、開発が大詰めを迎えているようです。
現在は、3分の1スケールの模型で、空気抵抗などの試験を行っているとのことです。
初飛行を行う場所
初飛行を行う場所は、いまのところ未定ですが、北海道大樹町にある多目的航空公園が、有力視されています。
公園内にある長さ1,000mの滑走路から離陸し、超音速での自律飛行を行いながら太平洋上を飛行し、上昇や旋回などの飛行性能も実証するとみられています。
開発を進める、室蘭工大の航空宇宙機システム研究センターで、センター長を務める内海政春教授(航空宇宙推進)は、
「オオワシ2号」で実証した技術は、将来の超音速旅客機や宇宙往還機などの開発にもつながる」
と語っています。
また、内海教授は、
この地の利を生かし、自ら設計した航空機を飛ばすことで、技術の底上げにつなげていきたい。
と、意気込みを語っています。
おわりに
近年のドローンの進歩には、目を見張るものがありますが、「コンコルド」に匹敵する マッハ2 という最高スピードには驚きです。
災害などは、あってほしくはないですが、日本の科学技術を、世界に示すためにも、「オオワシ2号」の開発が成功してほしいと、強く思います。
また、災害対応以外にも、使いみちはあるでしょう。
このような夢がある製品開発には、本当にワクワクしますね!
今回も、ご覧いただき、ありがとうございました。
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