2018年8月、デジタル避妊アプリ Natural Cycles を、アメリカ食品医薬品局(FDA)が認可しました。
Natural Cycles は、すでにヨーロッパでは使用されているアプリですが、アメリカでは、FDAに認可された、最初のデジタル避妊アプリということになりました。
Natural Cycles とは、いったいどんなアプリなのでしょうか?
Natural Cycles とは
Natural Cycles は、スウェーデンの会社によって開発された デジタル避妊アプリ です。
リズム法とは、女性の月経周期にともなって起こるカラダの変化をもとに、妊娠しやすい日と妊娠しにくい日を予測する方法です。
女性の体温は、卵子が卵巣から排卵され受精の準備ができると、平均体温よりも1度弱ほど上がる傾向にあります。
Natural Cycles は、ユーザーが計測した体温データを使い、アルゴリズムをベースに月経周期を予測します。
そして、ユーザーが体温計で測った体温を小数点まで入力すると、アプリがデータの解析・計算をして、
・赤のマーク の日は妊娠しやすい日
と教えてくれる仕組みです。
FDAのレビューによると、このアプリは、
他の避妊法と、ほぼ同じように避妊をすることができると評価されています。
失敗率はどれくらい?
FDAは、今回の認可評価にあたり、過去8カ月間このアプリを使用した、1万5,570名の女性のデータを調査したそうです。
一方を「完璧な使い方」、もう一方を「普通の使い方」と、2つのグループの分けて発表しました。
完璧な使い方(アプリが妊娠しにくい日と示している日にしかセックスをしない)をしたユーザーの失敗率は、どれくらいだったのでしょか?
完璧な使い方をしたユーザーの失敗率は、1.8%だったということです。
これは、100人中、約2人が妊娠するという確率になります。
そして、
普通の使い方(アプリが妊娠しやすい日としている日に、避妊具を使わずにセックスしたり、アプリが間違えて妊娠しにくい日と表示してしまった日にセックスした場合)ユーザーの失敗率はどれくらいだったというと、
普通の使い方をしたユーザーの失敗率は、6.5%だったということです。
これは、100人中、約6〜7人が妊娠するという確率になります。
これらの数字を、高いとみるか低いとみるかは、人によって意見が分かれるところだと思いますが、
比較対象として、たとえば、
コンドームの場合の失敗率は、統計的に18%という高い数字になります。
これは、100人中、18人が妊娠するという確率です。
この18%という数字と比べると、Natural Cycles を利用したほうが、妊娠する確率は低いと言えます。
アプリの使用料は
アプリの使用料は、
月額の場合は、10ドル(約1,100円)です。
年間利用の場合は、80ドル(約8,800円)です。
年間の場合は、高感度体温計も一緒に使えます。
意外と高いですね。
現在、160カ国で、60万人以上の女性がこのアプリを避妊法として使用しているとのことです。
その160カ国の中に、アメリカや日本が入っていなかったことに、私に驚きましたが、日本にもやってくる日が来るのでしょうか?
アメリカが認可したということは、日本でも認可されそうですが…
完璧な避妊方法はない?
最近では、毎日の自分の健康状態を、デジタルヘルステクノロジーを使って管理する人が、ますます増えてきています。
この Natural Cycles アプリも、しっかりと正しく使うことができれば、効果的な避妊をすることにつながりそうです。
しかしながら、完全な避妊というものはない、と認識していただきたいと思っています。
ですので、正しくこのデバイスを使用していても妊娠する可能性もあるということは、忘れないでいただきたいのです。
と、FDAの女性の健康担当者は、注意を呼びかけています。
おわりに
生理周期を管理したり予測するアプリは、すでに、たくさんありました。
それ以前に、毎日の基礎体温測定で、生理周期を予測することは、デジタルデバイスがない時代から行われてきたことです。
それでは、このデジタル避妊アプリ Natural Cycles は、それらのアプリと、どう違うのでしょうか?
それは、避妊目的での効果が、国によって認められたということです。
機械的なアルゴリズムを利用して判断したほうが、より制度は高くなることは確かです。
Natural Cycles アプリは、避妊したいカップル、そして反対に、妊娠したいカップル、それぞれに便利なアイテムとなりそうです。
しかし、なんとなく人の命までもが、スマホによって管理されているようなイメージが拭えないのは私だけでしょうか?
今回も、ご覧いただき、ありがとうございました。
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